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『懲罰と報復』

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懲罰と報復




これは第二次世界大戦の敗戦国の人々への愛のメッセージである。


真理は真理です。
その本質は永遠に変わることはありませんが、そのバリエーション(質・程度・適用性等の変化・変異)は無限です。
大衆に一度に理解してもらえるような真理を説くことは出来ません。
一人一人が異なった進化の段階にあり、同じ真理に対して各人各様の反応を示すものだからです。

私はつねづね、神の計画は一度に大勢の人間を目覚めさせることにあるのではないことを説いてきました。
そういうやり方では、永続性のある効果は期待出来ないからです。
一時の間は魔法をかけられたようにその気になっても、やがて必ず反動が生じ、群集心理から覚めて個人としての意識が戻ると、
しばしば後悔の念と共に現実に目覚めるものです。それではいけません。
私達の計画は個人を相手として、一人一人その霊的需要度に応じて真理を授けることにあります。
大抵の場合、地上で最も縁の強かった人からのメッセージで確信を植えつけます。
それにより確立された信念はいつまでも持続し、いかなる人生の嵐に遭っても、いかなる痛手を受けても挫けません。

ですから、大勢の人を一度に目覚めさせる方法はないのです。少なくても満足すべき結果を残させる方法はありません。

忘れてはならないのは、真理を理解するには前もって魂に受け入れ態勢が出来上がっていなければならないということです。
その態勢が整わない限り、それは岩石に針を突き刺そうとするようなもので、いくら努力しても無駄です。
魂が苦しみや悲しみの体験を通じて耕されるにつれ岩石のような硬さが取れ、代わって受容性のある、
求道心に富んだ従順な体質が出来上がります。

しかし、敗戦の苦しみの中に置かれた人々へのメッセージが1つだけあります。
何事も自分の理性に訴え、自分の道義の鏡に照らして行動しなさいということです。
動物時代の名残りを呼び覚まされ、目には目を、歯には歯をの考えで臨んでもラチが明かないのです。

苦難の代償はそれにより自らを霊的に解放し、憎しみも怨念も敵意もない、協調的精神に富んだ新しい世界≠ノ適応し、
然るべき役割を果たせる人材となることであらねばなりません。

ここで話題が敗れた枢軸国を連合国はどう扱うべきか?という、当時の最も関心の大きい問題に発展した。

出席者「私はそれらの国の人々とは二度と握手する気にはなれません」

迷える者に手を差しのべるということが真理を手にした者の義務です。戦乱の雰囲気に巻き込まれて、
その背後の永遠の霊的実在まで見えなくなるようではいけません。

出席者「しかし生意気を言うようですが、どう間違っても私にはあれほどの残虐行為は出来ません」

心配には及びません。神の摂理は完全です。一人一人が過不足のない賞罰を受けます。
無限の叡智をもってこの全大宇宙を計画し不変の法則により支配している神は、
そこに生活している者のすべてのために摂理を用意しており、誰一人としてその働きから逃れることは出来ません。
懲罰と報復とを混同してはいけません。私達は同じ問題をあなた方とは別の視野で眺めています。
復讐心と憎しみにより世の中を良くすることは出来ません。
その邪心が判断力を曇らせ、決断を下すにも計画するにも不適格な状態になってしまいます。

出席者「報復も懲罰の一種ではないでしょうか?」

違います。報復は古いモーゼの律法であり、懲罰は神の摂理です。つまり一人一人がその功罪に応じて報いを受けるのです。

出席者「人間同士で一方が他方を罰することは許されないとおっしゃるのですか?」

私だったら、その相手を精神的に未熟な人として扱います。
つまり人生を正しい視野で眺められるように、矯正していくための処方を考えています。
もし罰せざるを得ないとすれば−私はその必要があるとは思いませんが−魂が真の自我に目覚める性質のものでなければなりません。
憎しみを増幅させ、新たな戦争を生むような性質のものであってはなりません。

出席者「ああいう国民を甘い処分で済ませておくと、二十年もしたらまた戦争になります。
それで私は徹底的に打ちのめすべきだと言うのです」

どうやって打ちのめすのですか?

出席者「このたびの戦争でやったようにです」

それで問題が解決されたのでしょうか?肉体が機能しなくなったらその人の影響も存在しなくなるのでしょうか?
お伺いしますが、憎悪を抱いたまま肉体から無理矢理に離された幾百万もの人間が、地上の人間のために働いてくれると思いますか?

出席者「一つの教訓を教えることにはなると思います。少しは変わってくれると思います」

それは憎むことを教えることになるでしょう。憎しみは憎しみを呼び、愛は愛を呼ぶものです。
物質の目で物事を判断してはなりません。これまで何度も繰り返されてきたことです。
殺人犯を処刑しても問題解決にはなりません。地上へ戻ってきて他の人間を殺人行為へそそのかすからです。

では一体どうすれば問題解決になるのかということになりますが、処罰を矯正的な目的をもったものにすればいいのです。
社会の一員として相応しい人間になってくれるように、
言い換えれば神の公正の理念に基づいて然るべき更生の機会を与えてあげるように配慮すればよいのです。
そういう人は心が病んでいるのです。それを癒してあげないといけません。それが本来の方向なのです。
それが本人のためになるのです。それが人のため≠フ本来のあり方なのです。摂理に適い、それを活用した手段なのです。

出席者「戦争で敵・見方となり戦い合って死んだ二人に、あなたはそれぞれどう対処されますか?」

それはその二人の霊の状態次第です。条件付の答えで申し訳ありませんが、
そうした問題は規格品的回答で片付けられる性質のものではないのです。それぞれの霊的進歩の状態により異なるのです。
死んだ後も延々と戦い続けている者もいます。しかし、いつかは、
地上で抱いた敵対心は肉体の死と共に消滅すべきものとの認識が芽生えてきます。

霊界の下層界では地上で起きていることのすべてが再現されています。地上での戦争や抗争がそのまま続けられています。
しかし、霊的覚醒と共に、その界層を離れ、地上で培われた偏見と敵意をきれいに棄て去ります。
そうすると問題はひとりでに解決されていきます。

霊的真理の理解と共に、自分の為すべきことは霊的な身支度をすること、自分自身の霊性を磨くこと、
自分自身の能力を開発することであることを自覚し、
それは他人のために自分を役立てることによってのみ成就されるものであることを認識します。
いずれにしても問題はあくまで過渡的なものです。霊的事実を知らずにいる者にいかにしてそれを認識させるかということです。
そのためにあらゆる手段を講じるのです。

一番厄介なのは、自分がすでに地上を去った人であることが納得できない人達です。非常に頑固なのがいます。
さほどでもない者もいます。わりに素直なのもいます。このように、人類のすべてが同じ進化の階梯にいる訳ではないのです。
したがって一人一人の霊への対処の仕方も、それぞれのその時点での必要性に応じたものでなければなりません。

出席者「あなたの(おし)えの中には恐怖心≠捨てるように説いておられるものが多いのですが、
実際に爆弾が投下されているときにそれを要求するのは無理です。そういう状態では怖がって当然ではないでしょうか?」


おっしゃる通り当然でしょう。しかし、その状態こそ恐怖心を捨てる試金石でもあります。
私達がみなさんの前に掲げる理想が非常に到達困難なものが多いことは私も承知しています。
私達の要求することのすべてを実現するのは容易ではありません。しかし、最大の富は往々にして困難の末に得られるものです。

それには大変な奮闘努力が要求されます。しかし、それを私があえて要求するのはそれだけの価値があるからです。
いつも言っているように、あなた方はそれぞれに無限の可能性を秘めた霊なのです。
宇宙を創造した力と本質的に同じものが各自に宿っているのです。その潜在力を開発する方法を会得しさえすれば、
霊力の貯水池からくみ上げることが出来るようになりさえすれば、恐怖の迫った状態でも泰然としていられるようになります。

人生の旅においてあなたを悩ますあらゆる問題を克服していく手段は全部そろっているのです。
それがあなたの内部に宿っているのです。イエスはそれを神の御国は汝の中にある≠ニ言いました。
神の御国とはその無限の霊的貯蔵庫のことです。自己開発によりそれを我が物とすることが出来ると言っているのです。
開発すればするほど、ますます多くの宝が永久に自分のものとなるのです。
もしも私の説く訓えが楽なことばかりであれば、それは人生には発展と進化のチャンスがないことを意味します。
生命は永遠なのです。終わりがないのです。完全へ向けての成長も永遠に続く過程なのです。

出席者「極端な言い方かも知れませんが、同じく参戦を拒否するにしても、
恐怖心の一種である臆病≠ゥらきている場合があります。
人類がもっと臆病になれば戦争も少なくなるのではないかと思うのですが、
この考え方を霊界からどうご覧になりますか?」

臆病も人としての情の自然な発露です。私はいつも人生とは対照の中で営まれている−
愛の倒錯したのが憎しみであり、勇気が倒錯したのが臆病である、と申し上げています。
いずれも本質において同じ棒の両端を表現したものです。
また私は、低く沈むことが出来ただけ、それだけ高く上昇することが出来るとも申し上げています。

臆病を勇気に、憎しみを愛に変えることが出来るということです。この考え方がとても受け入れがたい人がいることでしょう。
しかし、これが私の考えです。人の精神には様々な複雑な感情や想念が渦巻いています。
それを上手くコントロールするところにあなたの成長があり進化があり、低いものが高いものに転換されていくのです。

出席者「臆病であることは悪いことでしょうか?」

良いとか悪いとかの問題ではありません。一つの感情が発露したものであり、その人の個性の一部であるというまでのことです。
たとえ表に出なくても内部にはある訳です。怖いという気持ちにならない時でもどこかに潜んでいる訳です。
私が言わんとしているのは、そうした感情がいかに陰性のものであっても、いかに好ましからぬものであっても、
あなたにはそれをより高度なものに転換する力が具わっているということです。
私はこの教えが最も大切であると思っています。臆病は本質において勇気と同じものなのです。
ただ歪められているだけなのです。そしてそれはあなたに具わっている力を駆使することにより正しい方向へ転換することが出来るのです。

出席者「憎しみと同じく臆病心も人の属性の一つだとおっしゃるのでしょうか?」

そうです。人が具えている資源の一部だと言っているのです。精神にはありとあらゆる資源が具わっているのです。

ここで、さきの質問にあった
人類がもっと臆病になれば戦争が少なくなるのではないか≠ニの意見についてのコメントを求められて−

そうはまいりません。みんなを臆病にすることにより戦争が解決されるものでないことは言わずと知れたことです。

出席者「ダンケルクでの英国軍の撤退作戦の時、海が穏やかで、
シチリヤ島での作戦の時も天候が味方してくれたと聞いておりますが、これは神が味方してくれたのでしょうか?」


宇宙の大霊である神はいかなることにも干渉いたしません。法則、大自然の摂理というものが存在し、これからも永遠に存在し続けます。
摂理の働きを止めたり干渉したりする必要性が生じるような事態はかつて一度たりとも起きていませんし、これからも絶対に起きません。
世の中の出来事は自然の摂理により支配されており、神によるいかなる干渉も必要ありません。
もし干渉がありうることになったら神が神でなくなります。完全でなくなり、混乱が生じます。

出席者「今の質問は、最近多くの高名な方達がラジオ放送で、
神が英国に味方してくれたかのように述べているのでお聞きしてみたのです」


本当の高名は魂の偉大さが生むものです。それ以外に判断の基準はありません。
何を根拠にしようと、神が自国に味方するかのように想像してはなりません。
神とは法則なのです。あなたが正しいことをすれば、自動的にあなたは自然法則と調和するのです。
窮地に陥ったあなた一人のために、どこか偉そうな人間的な神様が総力をあげて救いに来てくれるような図を想像してはいけません。
霊的法則を信じる人達の中にも、いまだにそういうふうに考えている人が大勢います。

出席者「一人一人進化の程度が異なるので理解の仕方も違ってくるのだと思います」

ですから、私が言っていることに賛成してくださらなくても、あるいは私が間違っている、
とんでもないことを言う奴だと思われても一向に構わないのです。私は私が見たままの真理を言っているのです。
永い永い進化の過程を経た後に学んだままを届けているのです。
それがキリスト教やヒンズー教、その他、聞いてくださる方の宗教を混乱させることになっても、それは私には関わりのないことです。
私はそうした名称や教義、いかなる宗教の概念にもまったく関心がないのです。
私は私がこれまで学んできた真理しか眼中にありません。
それが私の唯一の判断基準です。

私の言うことがしっくりこないという人に押し付ける気持ちは毛頭ありません。
私は私の知り得たものを精一杯謙虚に、精一杯真摯に、精一杯敬虔な気持ちで披瀝するだけです。
私の全知識、私が獲得した全叡智を、受け入れてくださる人の足元に置いてさしあげるだけです。
これは受け取れませんとおっしゃれば、それはその人の責任であって、私の責任ではありません。













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